6月17日(水)、『Pokémon Champions』のスマートフォン版がついに配信される。これまでSwitch勢が中心だった対戦人口が一気に拡大すれば、環境は大きく動く可能性が高い。
その「嵐の前」とも言える今、現行のレギュレーションMA2のダブルバトル環境を整理しておく価値は大きい。MA2のランク戦は6月17日(水)10:59までの開催。メガシンカが解禁される一方、ダイマックスやテラスタルは使用不可という、かつてないルール構成だ。
この特殊ルールの下で、環境はどのポケモンを軸に回っているのか。最強格の「評価」と実際の「使用率」、その両面から現環境のトップメタを読み解いていく。
レギュレーションMA2の特殊ルール──「メガはあるがテラスはない」
まず押さえておくべきは、このレギュレーションを規定しているルールの異質さだ。
- メガシンカ:使用可
- ダイマックス:使用不可
- テラスタル:使用不可
近年の対戦シーンを支配してきたテラスタルが封印され、代わりに往年のメガシンカが復活した。これは単なる懐古ではなく、環境の構造そのものを変えている。
テラスタルがあった環境では、どんなポケモンも「テラスで弱点を消し、打点を変える」奇襲が成立した。そのため受けの読みが難しく、撃ち合いはハイリスクだった。しかしテラスがない今、タイプ相性は素直に機能する。弱点を突かれれば素直に痛い。読み合いの軸が「テラス先打ち」から「素のタイプ・特性・素早さ」へと回帰したのだ。
対戦プレイヤーの間でも、この環境は**「超デフレ環境」と表現されることが多い。テラスタルという最大の火力・奇襲要素が消え、過去作の強力なアイテムの多くも未実装、ポケモンの性能自体も抑えめに調整されている──ひらまつ氏のnote考察をはじめ、複数のプレイヤーが現環境をそう読み解いている。レート2300超を走るライバロリ氏ら実況者のランクマ配信を見ても、派手な一撃必殺より地に足のついた撃ち合いと選出読み**で勝敗が決まる場面が目立つ。
その結果、評価されているのは小細工の効くポケモンではなく、素の性能が高いポケモン。この前提を踏まえて、トップメタを見ていこう。
環境の三本柱──イダイトウ♂・オオニューラ・ドドゲザン
現環境を支えているのは、汎用性の高い3体だ。実際のランクバトル使用率でも、イダイトウ♂が1位、ドドゲザンが3位、オオニューラが4位と常に上位に並び、メガシンカ勢を差し置いて「一般枠(非メガ)の最強格」として広く認知されている。ダブル最上位勢のゲーミングチーム・**Umbra(アンブラ)**が、メガ以外のポケモンだけを格付けした「一般ポケモンキャラランク」を動画で公開しているように、いま競技シーンでは“非メガの軸をどう固めるか”が構築の出発点になっている。
おはかまいり 最大威力200
特性「てきおうりょく」で更に上昇。HP120の高耐久
ねこだまし+高火力
特性「かるわざ」で持ち物消費後に素早さ2倍
優秀な耐性+高攻撃
フェアリー・エスパーに強い受け&殴り役
特にイダイトウ♂は使用率1位。「おはかまいり」は倒れた味方の数だけ威力が上がる技で、最大威力は200。これに特性「てきおうりょく」のタイプ一致補正が乗ると、ダブルの後攻からでも盤面をひっくり返す一撃になる。HP120という分厚い体力も、素直な撃ち合いが戻った今の環境にかみ合っている。
一般枠で最も評価が高いのがオオニューラだ。「ねこだまし」で相手1体の行動を止めるサポート役を担いつつ、インファイトでドドゲザンを、フェイタルクローでフェアリーを縛れる。環境のフェアリー・ドラゴンへの抑止力として、攻守どちらの役割もこなせるのが強みだ。
メガシンカ復権の象徴──評価SS「メガフラエッテ」
メガシンカ解禁レギュレーションを語る上で外せないのが、多くのプレイヤーが最高評価(SS)に位置づけているメガフラエッテだ。
- 特攻155・特防148という尖ったステータス
- 特性フェアリーオーラで、場のフェアリー技の威力を1.33倍に強化
- マジカルシャインで相手2体を同時に削る全体攻撃
ダブルバトルにおいて「STAB全体技を高火力で撃てる」というのは、それだけで盤面制圧力になる。フェアリーオーラの補正が乗ったマジカルシャイン、そして単体高火力の「はめつのひかり」──その圧力は種族値以上だ。さらにめいそうで特攻・特防を積み、みがわり+こうごうせいで受けの起点を作る積みエース運用もこなす。特殊方面には滅法強い。
ここで効いてくるのが、初期ダブル環境はワイドガードの採用率が低いという構造だ。全体技を防ぐ手段が薄いため、マジカルシャインのような範囲技が一方的に通りやすい。メガリザードンYの「ねっぷう」、ガブリアスの「じしん」「いわなだれ」が脅威とされるのも同じ理由で、この環境は全体技アタッカーが支配している。事実、ダブルの最強構築として真っ先に名前が挙がるのが「メガフラエッテ&メガリザードンY」の二枚看板だ。
元世界王者・ビエラ氏が自作した「チャンピオンズ最強キャラランク」の環境解説でも、こうした全体技を軸にした構築の優位性が繰り返し語られている。トーナメントの最前線で戦ってきたプレイヤーの目から見ても、現環境の評価軸は「素の火力 × 範囲」に集約されつつある。
ただし弱点も明確だ。防御は87しかなく、物理技には脆い。素早さ102を上回るオオニューラやスカーフ持ちの物理アタッカー、はがねの先制技「バレットパンチ」を持つメガハッサム・メガルカリオなどに、上から弱点を突かれると一気に崩れる。
そして、ここに評価と使用率のギャップが現れる。評価はSSでありながら、フラエッテ(えいえんのはな)の使用率は15位前後。これは「強いが扱いが難しい」ことの裏返しだ。メガ枠は1匹しか使えず、リザードン・カメックス・ゲンガー・ガルーラといった他の強力なメガシンカ勢と枠を奪い合う。メガフラエッテを選ぶ=他のメガを諦めるという構築上の重い選択が、使用率を抑えている。
逆に言えば、評価の高さを使いこなせるプレイヤーにとっては、まだ伸びしろのある「玄人向けの最強候補」とも言える。
雨と晴れ──天候パが環境の裏側を支える
単体の強さだけでなく、構築単位の戦術も環境を形作っている。その中心が天候パだ。
使用率を見ると、**ペリッパー(13位)やニョロトノ(29位)**といった雨降らし要員が安定して環境に存在する。雨下では水技が強化され、イダイトウ♂やウォッシュロトムの打点が一段跳ね上がる。一方、**コータス(26位)やリザードン(5位)**を軸とした晴れパも一定の勢力を保つ。
直近で注目されているのがニョロトノの役割の広がりだ。単なる雨降らし要員にとどまらず、「ほろびのうた型」で3ターン耐えて相手を強制的に削り、「じこあんじ型」でブリジュラスやクエスパトラの能力上昇をコピーしてアタッカー化する──といった変則的な使い方が評価され、使用率を伸ばしている。天候始動役が、そのまま勝ち筋を担えるようになったのは、現環境の面白い動きだ。
天候とは別軸だが、直近で使用率を一気に4つ上げた(24位)のがユキメノコだ。背景にあるのは、やはり全体技。「ふぶき」で相手2体をまとめて削りつつ、こおりの一貫を作る「ふぶき軸」構築が研究され、オオニューラやガブリアスと組ませた選出が結果を残し始めている。前章で触れたワイドガードの薄さが、ここでも追い風になっている。
加えて、**ガオガエン(使用率6位)**の存在も無視できない。「いかく」で相手2体の攻撃を下げ、「ねこだまし」で先制してテンポを取る。天候パであれ対面構築であれ、ガオガエンの安定感はあらゆる構築の土台になっている。初心者がまず組むなら、追い風役+オオニューラ・ドドゲザン・ガオガエンといったTier1を軸に据えるのが鉄板だ、というのが実況者・上位プレイヤーに共通する指針でもある。
編集部の見解──スマホ版が「第二の初期環境」を作る
テラスタルという最大の変数が抜けたレギュレーションMA2は、ポケモン本来の性能がそのまま強さに直結する、ある意味で「教科書的」な環境になっている。イダイトウ♂の素の火力、オオニューラの素早さと技範囲、ドドゲザンの素の耐性──小細工ではなく、地力のあるポケモンが順当に上位を占めている。
そして6月17日、スマホ版の配信で対戦人口は爆発的に増える。新規プレイヤーが大量に流入すれば、使用率は一時的に「分かりやすく強いポケモン」へ偏るだろう。イダイトウ♂やオオニューラ、ガオガエンといった扱いやすいトップメタが、さらに使用率を伸ばす可能性が高い。
一方で、母数が増えれば対策も洗練される。メガフラエッテのような「評価は高いが使用率は伸びていない」ポケモンが、新たな研究で日の目を見るかもしれない。スマホ版配信は、いわば**「第二の初期環境」のスタート地点**だ。
PokeBattleJPでは、スマホ版配信後の使用率の変動と、それに伴う環境の地殻変動を引き続き追いかけていく。今の環境を覚えておけば、1週間後にどれだけ景色が変わるのかが、きっとよく見えるはずだ。
この記事はPokeBattleJP編集部が、実況者・プレイヤーによる環境考察、ランクバトルの使用率データ、X上の投稿を基に独自に編集・考察したものです。
参考:Umbra/アンブラ(ダブル最上位勢・YouTube @UmbraPokemon/X @Umbra_info「ダブル最上位勢が考える一般ポケモンキャラランク」「調整すべきポケモン・技を徹底総括」ほか)、ビエラ(元ポケモン世界王者/YouTube「チャンピオンズ最強キャラランク・環境解説」「誰でも使える最強構築」ほか)、ライバロリ(YouTube/チャンピオンズ ランクバトル各動画)、ひらまつ氏「ポケモンチャンピオンズの環境調整がすごいと思った話」(note.com)、ポケモンバトルデータベース(champs.pokedb.tokyo)、各種使用率データ、『Pokémon Champions』公式サイト ほか(2026年6月15日時点)
